スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2017.03/01(Wed)

転機 ④

太田は、黙って一歩前を歩く南部の後をついて行った。

─南部・・・。あと始末って、どう始末をつけて歩くつもりなんだろう。

太田は、南部の背中にただならぬ雰囲気を感じ取っていた。
黙ってはいるが、いつのも穏やかさはすっかり影をひそめ、殺気にもにた迫力が、南部の全身から立ち上っているようにも思えた。
それに、どうして自分を伴って行かなければならないのか、その真意がよくわからなかった。

二人が、格納庫の手前にさしかかった時、薄く開いたドアの向こうから、複数の乗組員の話し声が聞こえてきた。
はっきりとは聞き取れなかったが、どうやら、今回の航海班の対応を誰かが批判しているようだった。

太田は思わず眉をひそめた。
予想はしていたが、実際に、陰で自分たちを悪く言われている現場にでくわしたのだから、当然、いい気はしない。
それに、今回の航路選択については、自分の心のどこかに、どこかやましいようなところがあるものだから、余計に気持ちがざわついて、素知らぬ顔が出来なかった。

─クソっ・・・!事情も知らないで、勝手なこと言いやがって!

しかし、次の瞬間、眼前で起こった出来事に、太田はアッと息をのんだ。

それは、一瞬のことだった。
一歩前を歩いていたはずの南部の背中が、その瞬間、視界から消えたと思ったとたん、目の前のドアが急に開け放たれ、それと同時に、室内にいたブラックタイガー隊の隊員が一人、椅子から転げ落ちていた。
そして、もう一人は、胸ぐらをつかまれて、吊るしあげられている。

─南部・・・!

太田は、突然のことに声も出せなかった。

部屋の中にいた、3,4人のブラックタイガー隊の隊員は、普段は穏和な南部の豹変ぶりと、その恐ろしいほどの怒気に、言葉を失って立ち尽くしていた。最初に南部に殴り飛ばされた隊員も、その痛みというよりは驚きのあまり、転げ落ちた格好のまま、固まってしまっている。

南部は、部屋の中をゆっくりと見渡して、静かに口を開いた。

「不確かな情報で、仲間の陰口をたたくようなやつは、出て行ってくれないか。ただでさえ、みんなイライラしてるんだ。それを、自分の感情で、煽るようなことをする奴は許さない。仲間同士いがみ合って、ガミラスに勝てるのか。」

恐ろしいほどの静寂が部屋中に充満していた。

「言いたいことがあれば、いつでも言いに来い。納得がいかなければ、戦闘班長かお前たちの隊長に報告を上げろ。」

南部は、吊るしあげた隊員を放り投げるように解放すると、部屋を出た。
俯いた横顔が、少し、青ざめて見えた。

スポンサーサイト
19:33  |  宇宙戦艦ヤマトのお話  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Tracback

この記事のトラックバックURL

→http://kiokunomukou.blog99.fc2.com/tb.php/69-472679d4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。