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2017.03/01(Wed)

転機 ①

これで、何日になるだろうか。
オクトパス原始星団にさしかかり、ここの宇宙嵐のせいで、ヤマトは足止めをくらっていた。
幸い、ガミラスからの攻撃はない。
もっとも、こんな宇宙の難所に飛び込んでくる輩はそうそういないだろうが。

時間に限りのある航海で、これほどの日数をこの空域で浪費してしまうとは想定外だった。
もともと、想定に無いことずくめの航海ではあるが、なすすべもなく過ぎていく日をただ数えるのは、乗組員にとって大いに苦痛だった。

乗組員の精神衛生の状態も悪化の一途をたどっている。

昨日の、古代と島の喧嘩もその象徴だ。
将棋の勝ち負けなんて、どうでもいいようなことで、殴り合いの喧嘩までするなんて。
普段なら、考えられないことだった。

そして、そんな班長同士の喧嘩騒ぎは、その他の班員同士の関係にも、微妙な影を落としてしまった。

     ◆     ◆     ◆

その日、南部は、太田と連れ立って食堂に行くことになった。
珍しく、同じシフトの勤務だったので、どちらが誘うでもなく一緒に食事をすることになったのだ。

第一艦橋を出てしばらく歩くと、南部はいかにもだるそうに生あくびをした。
「あーあ・・・。たまらないなあ。一体いつになったら、この空域を脱出できるんだよ・・・。」
太田は、フンと鼻で相槌を打つ。
「俺たちだって、必死に抜け道を探ってるんだ。そんな顔しないでくれよ。」
実際、航海班は、不眠不休で航路探査にあたっていた。
「ごめん。あんまりやることが無いもんだから、つい。」
南部は、謝りながら、太田の横顔をちらっと見遣った。
しかし、太田の表情は案外明るい。
「まあ、もうしばらくの辛抱だと思うよ。この空域の8割がたは解析が終わったんだ。残りの2割の中のどこかに、抜け道があるはずだよ。」

「でも、太田。そろそろ、ここから脱出しないと、みんな限界だぜ。」

限界なのは、南部も同じだった。
戦闘がないのは、ありがたい。
しかし、この密閉された空間の中で、見通しもなく、毎日やることもないというのは、正直堪らなく苦痛だ。
特に、戦闘班は、他の各班と違って、非戦闘時はやることが極端に少ない。
武器の点検補修と作戦会議、それに、各自、訓練メニューをこなすこと─それが終わってしまえば、後は延々、暇なのだ。

「まあ。とりあえず、食べようぜ。ただでさえイライラしてるんだ。こんな時は、胃袋に血を集めた方が、余計なことを考えずに済むってもんだ。」

太田の言葉に半ばあきれながら、それでも南部は幾分、気が晴れた。
太田のおおらかな人柄は、稀有の妙薬だ。
二人は、何となく笑顔になりながら、食堂に入った。

ところが、入ってすぐ、二人は異変に気づいた。

いつもなら、各々、気ままに席を取って食事をしているはずの食堂までもが、どことはなくぎこちない雰囲気に包まれている。
見渡せば、一目瞭然。
各テーブルごとに、まるで色分けされているようだ。
戦闘班と航海班は二つに割れ、その他の班員が、その間を埋めるように席について食事をしている。

南部と太田は、顔を見合せてため息をついた。

面相臭いことになってしまった。
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