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2016.11/13(Sun)

さよならをするために ⑨

「南部さん。」
ユキが、少し遠慮がちに声をかけてきたのは、そんな時だった。

「なに?」
南部は、半分だけ振り返って、返事をした。
「あの・・・。」
ユキにしては珍しく、何か、言いにくそうにしている。
─もしかして、森さん、俺の交信を聞いたんじゃ・・・!
南部は、平静を装って、ユキを振り返った。
「どうかした?」
ユキは、それでもちょっと考えるようなそぶりをしてから、ようやく、意を決したように話し始めた。

「南部さんに、ひとつ聞きたいことがあって・・・。」
「なに?」
「古代くんのことなんだけど・・・。」

南部は、ユキの質問が自分のことではなさそうだとわかって、半ばホッとした。
しかし、反面、古代のことを口にする時の、ユキの微妙なニュアンスに、かすかな嫉妬も覚える。

「古代が、また何か森さんを困らせるような事でもした?」
南部は、無意識に、少し意地の悪い言い方をした。
しかし、ユキは、そんな南部の様子には、気づかないようだった。
「ううん。そうじゃないのよ。悪いことをしたのは、私の方なの。」
そう言うと、自分の席から立ち上がると、俯き加減に歩いて、相原の席に座った。
「私、古代くんには身寄りがないって、知らなくって。お兄さんのことは聞いてたけど、ご両親のことは、知らなかったものだから。古代くんを、無理に交信室に押し込んでしまって・・・。」

─そうだったのか・・・。

ユキは、申し訳なさそうにうつむいて、唇を噛んだ。
南部は、ユキのそんな表情を、初めて見た。さっき、南部が駆け込んできたときに見せた笑顔とはまるで違う人のようだった。

ぬけるように白い横顔が、悲しみに揺れて、綺麗だった。

「南部さんは、何で古代くんのご両親が亡くなったか知ってるの?」
「古代は話さなかったの?」
「ええ。あとで佐渡先生に聞いたら、ガミラスの攻撃で亡くなったらしい、とだけ教えてくれたんだけど。」
ユキは、相変わらず、遠慮がちに聞いてくる。
多分、ユキ自身、他人の事情に踏み込むことに、迷いがあるのだろう。
しかし、聞かずにはいられない、そんな、切なさが伝わってくる。

「俺も、詳しいことは知らないけど。遊星爆弾の直撃を受けて亡くなったそうだよ。なんでも、バス停で、古代の帰りを待ってたところに、遊星爆弾が落ちたんだって聞いたけど・・・。」

ユキは、大きな瞳を見開いて、南部を見た。

ユキの全身に漂う悲しみが、切なくて、南部は目を伏せた。
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