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2016.11/13(Sun)

さよならをするために ⑧

南部は、時間ぎりぎりに、第一艦橋に駆け込んだ。
今日の当直は、確か真田とペアのはずだ。
日頃から時間厳守は当然のことだが、特に真田はその辺りのことには厳しかった。
決して後輩を叱りつけない温和な態度も、余計に凄味があった。

─あれ?

しかし、予想に反して、第一艦橋で待っていたのは、ユキだった。
息せき切って走りこんできた南部を振り返って、にっこりと微笑んだ。

「すべり込みセーフね!」
ユキは、南部の慌てた顔を、嬉しそうに眺めた。
「あれ?今日の当直は真田さんじゃなかった?」
「そうなんだけど、どうしても今日中に仕上げたい仕事があるから、当直代わってくれって頼まれちゃって。」
「そうなんだ・・・。」
南部は、正直、ホッとした。
決して、真田のことがけむたいわけではなかったが、比べれば、ユキとの当直の方が断然気楽に決まっている。それに、今日は特に、真田に自分の心の奥底まで見透かされそうな気がして嫌だった。ユキの楽しそうな笑顔を見ていると、さっきまでのささくれ立った心が、次第に和らいでいくような気がした。


二人はそれからしばらくの間、淡々と職務をこなした。
計器の数値を読み、記録しする。平時の当直の仕事なんて、それくらいのことしかない。
あとは、艦内時計が朝になるまで、何事もないことを祈りながら、静かな時間を過ごすのみだ・・・。

ひと通り終えると、南部はとたんに手持無沙汰になった。
いつもなら、ユキと他愛のない話でもして、時間を潰すところだが、今夜はさすがにそんな気分になれなかった。ユキとまともに向き合って、むくんだ顔をさらすのも気が引ける。

仕方なく、今後の作戦計画でも練り直すことにして、コンソールの上に資料を広げた。

実際、計画の変更は切迫した事案だった。
ガミラスの攻撃は、予想以上に厳しく、執拗だ。その上、外宇宙に出れば、何が起こるかわからない。
あらゆる面から、検討しなおす必要に迫られていた。


しかし、やっぱり、駄目だった。
南部は、資料の上にペンを放った。

─だめだな・・・。俺・・・。

南部は、コンソールに頬杖をついて、ため息をついた。
数時間前の母親との交信が、頭の中で何度もプレイバックする。泣きながら南部の話を聞いていた、母の面影が、目の前に浮かんできて、どうしても、職務に集中できなかった。

南部は、久しぶりに静かな夜を、恨めしく思った。




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