スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2009.09/17(Thu)

南部の憂鬱 ③

「相原、お前さあ、一人っ子だろう?子供のころ、兄弟って欲しくなかった?」
「ああ。そうだな。お兄さんとか、お姉さんとか、憧れたかな。」
相原は、予想外の質問に、少し曖昧に答えた。

「俺も一人っ子だから、そういうのに憧れててさ。」
南部はワインの栓を抜きながら、話し続ける。
「俺の母親には、歳の離れた妹がいたんだけど、小さい頃は、よく可愛がってくれてね。俺も
『お姉ちゃん、お姉ちゃん』って、ついて歩いてた。」

「ふうん。はじめて聞く話だな。」

南部はさらに続ける。

「その、お姉ちゃんも、そのうち結婚して、俺が12歳になる年に25歳で子供を産んだ。」

南部はコルクを器用に抜くと、ワインをグラスに注いだ。
そのワインは、深い赤色をしていたが、少し濁っているようにも見えた。

「もしかして、このワイン、その赤ん坊が生まれた年のワインとか?」

相原の、何気ない言葉に、一瞬、南部は驚いたように目を開くと、また手元に視線を戻した。

「そう。その子が生まれた記念に、俺の母親が取り寄せたんだ。お祝いに渡すつもりでね。でも、結局渡せなかった・・・。」
「どうして?」
「子供が生まれたその日、お姉ちゃんは死んだんだ。」

相原は、言葉を失って、南部を見つめた。
南部は、そんな相原に、寂しそうに微笑んだ。

「詳しいことは知らない。ただ、出血が多すぎたって聞いただけさ。」
「そんなことがあったんだ。」

「赤ん坊は、夫の両親が引きとったらしい。」
南部はそういうと、ワインに口をつけた。
「やっぱり、マズイな。」

「南部、そのお姉さんのこと、好きだったんだ。」
「そうかもな。」

南部は、まるで、苦い薬でも飲むように、ワインを飲んでいる。

「お姉ちゃんが死んでから、しばらくして、このワインが家に届いたんだけど、母親は妹の死に取り乱してて、話にならないし。ウチのワインセラーに入れる気にもならないだろう?それで、俺の部屋に転がしてたってわけ。」

「お前が12の歳っていったら、もう10年になるのか。」
「そうなんだ。たまたま、任務と重なってヤマトに乗ることになったから、持ってきたんだけど、そうじゃなかったら、家で一人で飲んでたかもな。」
南部は、ため息をついた。

「今日が、命日なんだ。」

相原も、ワインを飲んだ。
渋みと酸味のきついワインだった。


スポンサーサイト
16:12  |  宇宙戦艦ヤマトⅢのお話  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Tracback

この記事のトラックバックURL

→http://kiokunomukou.blog99.fc2.com/tb.php/5-a9c6791a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。