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2016.11/13(Sun)

さよならをするために ③

並んで座っている二人の間には、重苦しい沈黙が流れた。
古代は、また、元のだんまりに戻った。

その時、一瞬、談話室の明かりが消え、すぐにまた灯った。
ヤマトの夜が、始まる合図だ。

「もう、こんな時間なんだな・・・。」
南部は、ぼんやりと天井の明りを見上げた。
その言葉につられるように、古代も天井を見上げた。
「南部・・・。ごめん。俺、嫌なことを言ったよな。」
「いや。いいんだ。本当のことだから。」
南部は、天井を見上げたまま、長く息を吐き出した。

「古代は、何で戦うんだ?地球のためか?」
「いや。」
古代は、すっと立ち上がった。
「ただ、ガミラスが憎い。それだけさ。」
視線を落として立つ古代の表情は、髪に隠れてよく見えなかったが、その声は、普段の古代からは想像もつかないほど、小さく、消え入りそうな声だった。

「俺は、何不自由なく育った。優しい両親、穏やかな家庭。欲しいものは、何でも与えてくれる。だが、俺は知ってしまった。俺たち家族の平穏な生活は、多くの人間の血の上に成り立っていたんだって。親父はそれを、ビジネスだと言った。需要があるから、供給するんだと。」

古代は、ソファの前に突っ立ったまま、振り返りもせずに、南部の告白を聞いている。

「そして、言ったんだ。戦争と平和は表裏一体だ。平和の裏には、常に戦いがあるんだって。」

そして、南部は苦しそうに、吐き出すように言った。
「それなのに、ガミラスとの戦いが激しくなってくると、自分たちは、一番に地下都市に避難した。平和をもたらすために武器の供給はするが、その戦いは他人に任せるってことさ。」

南部は、手に持っていたコーヒーカップをテーブルに置くと、両手を膝の上で、ギュッと握りしめた。
「それなら、俺は戦ってやる。実際に自分で戦ってやるって。それで、家を出た。宇宙戦士訓練学校に入学すれば、住むところはあるし、食事も付いてる。おまけに、成績優秀者は、奨学金を受けることだってできる。」

「そうか。」
古代は、飲み終えた紅茶のカップを奥のカウンターに片づけた。
「まあ、理由はどうあれ、俺たちに残された道はほかにないってことさ。この戦いに勝って、イスカンダルにたどりつかない限り、この先、次には進めないんだ。俺も、お前も。」

古代の言葉に不思議な力を感じる。

「俺は、行くところがあるから。じゃ、また後で。」
古代はそう言って談話室を出ようとして、ふと立ち止まった。
「そういえば、真田さんが言ってたんだけど、ヤマトの装甲、発進の2週間くらい前になって急に強度を増す処理をしたって。南部重工側の申し入れだそうだ。おかげで、当初の予定の1.5倍の強度だって、真田さん喜んでたぞ。」
「・・・?」
「2週間前っていったら、俺たちの乗艦が決まったころだよな。」

南部は、息をのんだ。
─まさか・・・!

「どうせ、何も言わずヤマトに乗ったんだろう?別れの挨拶くらい、してくるもんだ。」
「古代…!」
「俺たちには明日はないかも知れないんだ。それに、明日がないのは、地球も同じだろ。お互い、いつどうなるかわからないんだ。生きてるうちに、さよなら、くらい言っとけよ。」
「古代・・・。」

「南部。お前の親は生きてるじゃないか。どんなに憎くても生きてるじゃないか。」
「古代・・・。」
「地球との交信は済ませとけよ。これは班長命令だ。」

古代は、淋しそうに笑った。


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