スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2016.11/13(Sun)

さよならをするために ②

「ふうん。それで、一人でぶらぶらしてたわけだ。」

古代は、南部を一瞥すると、談話室のソファに深く座って、熱い紅茶をすすった。
南部も古代の横に座ると、温かいカップを両手で包んで、そっとコーヒーに口をつけた。古代よりも一回り大きな背中を丸めてコーヒーをすするたびに、眼鏡がうっすらと曇っている。

「なあ、南部。」
古代は手元の紅茶に視線を落としたまま、呟いた。
「地球と交信して来いよ。」
南部は、黙って友人の横顔を見た。淋しそうな顔だった。

「その必要はないよ。」
南部は、抑揚のない声で反論した。
「俺は、自分から家を出たんだ。南部の家とは、もうとっくに縁を切ってる。」

「ふうん。まあ、お前がそれでいいんなら、俺はいいけどね。」

古代が、こんな言い方をするときは、きまって何か言いたいことがある時だ。
何年も寝食を共にしたきた古代の言いたいこともだいたい見当はついた。

南部は、ため息をついた。
「何だよ。言いたいことがあるなら、はっきり言えよ。」

しかし、古代は俯いたまま、何も言わない。
それっきり黙って、冷めかけの紅茶をちびちびすすっている。

南部はそんな古代の態度に、なぜか無性に腹がたった。そして、一瞬の激情が噴き出した。
「古代、何だよ。何で言わないんだよ!ハッキリ言えよ!」
                                                    
古代は、一瞬驚いて目を丸くしたが、すぐに先程までのポーカーフェイスに戻った。
「お前が、実家の家業を嫌うのは、わかる気がするけどさ。そりゃ、殺し合いの道具を売った金でいい暮らしなんかしたくないよな。」
古代は、南部をまっすぐに見た。
「じゃあ、何で、お前はここにいるんだ。何で銃を持って戦ってる?」
南部は、言葉もなく古代を見つめた。
「俺たちは、南部重工業の技術を結集して作り上げた艦に乗って、南部重工業製の武器を手に戦ってるんだ。それも、否定のしようのない現実だよ。」

古代の言葉は、南部の胸をえぐった。
スポンサーサイト
15:13  |  宇宙戦艦ヤマトのお話  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Tracback

この記事のトラックバックURL

→http://kiokunomukou.blog99.fc2.com/tb.php/43-cbd70e79
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。