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2016.11/13(Sun)

さよならをするために ①

宇宙に長くいると時間の感覚が鈍くなる。
あたり前のように昇っては落ちる太陽の光が届かない漆黒の空間だ。ここには、朝も昼も夜もない。
それでは生体リズムが狂うので、ヤマト艦内には、艦内時間が設定されていた。
一日24時間、一応、夜間の時間帯は照明を落とした上で、夜間専用の照明をつけるという念の入れようだ。
しかし、これも、戦闘のない、通常の航海時に限られるのだが・・・。

南部は夜間照明の灯りの下、居住区の長い通路を古代と二人で歩いていた。
二人は、目も合わさず、言葉も交わさず、目的の部屋を目指している。
南部は、部屋の鍵をマスターキーで開けると、照明の落とされた部屋の明かりを手探りでつけた。

部屋の中には、二段ベッドと二つのデスク。
二人用にしては狭い部屋・・・。
突然、主を亡くしたその部屋は、まるで、今日の日を予期していたかのように片付いていた。

「根本・・・。杉山・・・。」

古代は、無表情なまま、ぽつりと二人の名前を呼んだ。
この間の、冥王星基地の破壊工作に参加して、帰らぬ人となった戦友たちは、同室の2人だった。

ベッドを片づけ、デスクの中身を鞄に詰める・・・。
この単純な作業が辛い。つい、昨日まで、ここに息づいていた二人の臭いが浸み込んでいる。

南部も、古代も一言も発せず、小一時間ほどで作業を終えた。
ただ、二人の顔は、悔しさとも悲しさともわからない涙で濡れていた。


     ◆     ◆     ◆

翌日、艦長の配慮により、乗組員全員の地球との最後の交信が許された。
ささやかな、フェアウェルパーティーが催され、みな、今日ばかりは戦いを忘れて楽しんでいる。
交信室の前には、長い列ができていた。

家族の写真を手に手に、賑やかな通路のわきを抜けようとしたとき、南部はユキに呼び止められた。
「南部さん。まだでしょう?」
ユキは、南部も当然交信すると思っているのだろう。
「ああ・・・。また後にするよ。これだけ並んでちゃ、いつになるかわからないだろう?」
南部は、出来るだけ自然に、ごまかした。
「でも、南部さん。できるだけ早く済ませて下さいね。交信の状態は時間ごとに悪くなっているのよ。」
「了解。」
南部は、ユキの手前、本当のことが言えなくて、口先だけで適当に返事をすると、足早にその場を離れた。

しかし、今日ばかりは行くところがない。
この華やいだ雰囲気の中、南部は身の置き所がなかった。
かといって、用事もないのに第一艦橋に戻れば、事情を知らない徳川さんあたりに急かされて、また交信室にいくふりをしなければならなくなる。
考えるのも、億劫だった。

南部は、仕方なく居住区に向かった。
自室で、音楽でも聞いて時間をつぶそうか・・・。
居住区に近い通路で古代に会ったのは、ちょうどそんな時だった。

「おう。南部。お前こんなところで何してるんだ?」
それはこっちのセリフだと、南部も苦笑いだ。

二人は連れ立って、居住区の談話室でコーヒーでも飲むことにした。
古代は、南部の『事情』を知る、数少ない友人の一人だった。

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15:08  |  宇宙戦艦ヤマトのお話  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●待ってましたあ!

ああああ!
ゲーム版のネタを振った甲斐がありました!
ありがとうございます!
また挿し絵やらせてください!

(´∩ω;`)ぶわあっ
ナナイチ@南部同盟 | 2009.11.15(日) 14:53 | URL | コメント編集

●Re: 待ってましたあ!

早速の、ご訪問、ありがとうございます。
挿絵、是非是非!!!

この後、南部は交信するのですが、結果、傷つき傷つけてしまう・・・。

このようなお話です。
chakichaki | 2009.11.15(日) 16:05 | URL | コメント編集

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