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2016.11/13(Sun)

秘密 ⑩

「おじい様の、秘書にしてください。」
晶子は、必死だ。
ここに至って、平九郎は覚悟をきめなければならなかった。
「いいだろう。しかし・・・。」
言いかけて、やめた。

─知りたくない事まで、知ることになるぞ・・・。

そんな事は、今の晶子には何の意味もないだろう。

─向こう見ずな・・・。まあ、それも若者の特権か・・・。

「しかし、なあに?おじい様。」
「ああ。」
平九郎は、飲みこんだ言葉の代わりに、もう一つの心配事を口にした。
「お前の父親は、お前が私のそばで働くことを許してくれるかな?それに、大学はどうするんだ?」

息子が軍を嫌っているのは知っている。ましてや、掌中の珠の如く大事にしている一人娘のこと。反対するのは、わかりきっている。

「大学は休学します。お父様にも、ちゃんとお話するわ。」
そして、笑顔で言った。
「もし、それでもお父様が許して下さらなかったら、その時は、おじい様の宿舎に泊めて下さる?」

平九郎は、笑うしかなかった。
「ははは・・・。晶子にはかなわんよ。」

それにしても、と思う。
─どこがそんなに良いのかね。
平九郎は、かすかな嫉妬が頭をもたげてくるのを自覚した。

「そういえば、相原くんは、通信班だったな。」
「まあ、おじい様ったら!わたし、そんなつもりじゃ・・・。」

頬を染めてうつむく晶子の横顔が、まぶしかった。

─いつの間にか、こんなに大きくなって。わしも歳をとるはずだな
                               
チューブカーは、目的のレストランの近くで止まった 。    
    

晶子と連れだって昼下がりの街を歩きながら、平九郎は、ささやかな報復を思いついた。
可愛い孫娘の心をとらえて離さない、果報者への報復・・・。

これからしばらくの間、定時交信の時間には、相原くんには席を外してもらおうか。何か、口実を作って・・・。

祖父の心の内も知らず、あふれる笑みを向ける晶子を見て、平九郎の心はチクリと痛んだ。


しかし、この報復は、実行されることはなかった。
通信機の扱いで、彼の右に出るものはいなかったし、それに、そんな事をして、孫娘を泣かせるようなこともできない。
平九郎は、秘書として忙しく立ち働く晶子の姿が、ただ、まぶしくて、若い二人のこれからを思いやって見守る事しかできなかった。

fin

【More・・・】

藤堂晶子さんって、どんな人だろうな?
こんな空想から、広げたお話でした。
相原との出会いも、偶然にしては、あまりに唐突な気がしていて、かなり、脚色しました。

もしかして、二人の出会いに、こんな秘密があったら。

最後まで読んでくださったみなさん、ありがとう。

拍手くださったかた、ありがとう。
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