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2009.09/17(Thu)

南部の憂鬱 ②

南部の部屋は、士官クラスの居住区画の一番奥まったところにあった。
軍というところは階級がすべてだから、部屋の割り振りも階級順になるはずなのだが、艦長の意向で
『緊急時に一番都合の良い配置』になっている。そういう理由で、本当なら艦の副長クラスが使う部屋が、南部に割り当てられていた。

「相変わらず、無駄に広い部屋だな。」

相原は、南部のデスクの椅子に腰を下ろしながら、部屋を見渡した。
南部の部屋は、6畳ほどの相原の部屋に比べると一回り大きく、ベッドとデスクを配置しても、まだ若干の余裕があった。荷物の持ち込みも制限があるから、そんなに私物は多くないが、ベッドサイドやデスクの上のちょっとした小物が、南部の育ちの良さを感じさせる。

「羨ましいだろ。」

南部は悪戯っぽく笑った。

─戦艦の中という特殊な場所にあっても、時として、それを忘れるくらい穏やかな時間がある
相原が、軍人として最前線に配属されて初めて知ったことだった。

「なあ。相原」
南部は、ベッドの下から何かゴソゴソと出してきた。
「これ。誰かと一緒に飲みたくてさ。」

古いワインだった。

「こんなもの、よく持ち込めたな。」
相原は呆れて南部の顔を見た。アルコールの持ち込みは制限されている。持ち込まなくても、生活班に申請すれば大概の酒類は支給されるし、食堂でも、時間と場面によっては飲めることになっている。無制限に持ち込めるのは、佐渡先生の特権だ。

「砲術長の手荷物を厳密に検査できる生活班員がいると思うか?」
「まず、いないだろうな。]
「だろ?」
相原も、笑うしかない。

「これ・・・。どうしても持ってきたかったんだ。」
南部は相原に向き合って、ベッドに腰かけた。

「特に高級でも何でもないワインなんだけどね。」
「何か、いわれのあるワイン?」
「ああ。」

そう言って、コルク栓にワイン抜きの金具を刺す南部の顔は、いつもの陽気な彼のものではなかった。
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