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2016.11/13(Sun)

秘密 ⑧

南十字島から帰ってからは大騒ぎだった。
両親は、憔悴しきって帰宅した娘を、困惑しきった顔で迎えた。
当の娘は、『大切な知り合いにお別れを言いに行った』としか言わない。
その知り合いが誰なのか、なぜお別れを言いに行ったのか、詳しいことは何一つ明かさないのだ。
その上、ろくに食事もとらずに、部屋に閉じこもったきり、出てこない。
これまでの晶子からは、考えられない行動に、両親は、困り果ててしまった。

平九郎が、一週間ぶりに帰宅したのは、ちょうどそんな時だった。

平九郎は、息子夫婦から大まかな話を聞くと、晶子を呼んだ。
そして、何も知らない顔をして、これからしばらくは、宿舎に泊まりこむことになること、そして、大変な仕事が待っていることを、機密に触れない程度に話して聞かせた。
そして、ヤマトのこと・・・。ヤマトが近く発進する予定であることも・・・。

晶子は、コーヒーカップを手に俯いていたが、平九郎が、ヤマトの名前を出したとたん、弾かれたように顔をあげた。思いつめた顔だった。
「おじい様にお願いがあります。」
「何かね?」
「ヤマトに連れて行って下さい。」


     ◆     ◆     ◆


平九郎は、秘密の保持を条件に、晶子の願いを叶えてやることにした。
─私も、甘いな・・・。
実は、晶子が南十字島に行ったことを、平九郎は知っていた。
ホテル側から、相原を若い女性が訪ねてきたと、防衛軍本部に情報提供があったのだ。その若い女性の様子が、あまりにも不自然だったから、ホテル側が気をまわしたらしい。仮にも、相原は本部詰めの管制官。ヤマトの通信班長は、軍内部でもそれなりの地位にある。本部詰めの士官を、しかも、任地に尋ねる民間人となると、限られてくる。
監視カメラに映っていたのは、晶子に間違いなかった。

それにしても、いつ相原くんと?という疑問は残った。

晶子は、単独で相原の行動を知りえる立場にはない。ということは、内部に、協力者がいる。それが誰なのか・・・だいたい想像はついた。
─ユキか・・・。
平九郎は、ため息をついた。
─相原くんは、カヤの外かな。
結局、すれ違って出会えなかった状況からすると、彼は晶子の訪問を知らなかったと考えるのが、妥当だろう。
─困った子たちだ。

翌日の午後、複雑な表情の晶子を伴って、平九郎は日本アルプスのドックに向かった。
まさか、二人が、空港で偶然出会っていたとは、そのことが、騒動を引き起こしていたとは、さすがの平九郎も知らなかったのだが・・・。
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