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2016.11/13(Sun)

秘密 ③

はじまりは、偶然だった。
半年前、暗黒星団帝国との戦いが終わり、本格的に地球の復興が始まったころだった。

その日、晶子は、防衛軍本部のロビーにいた。

晶子の通う大学では、3年生になると、将来の職業選択をにらんで、各種研修プログラムに参加することが義務付けられていた。
そこで晶子は、防衛軍での研修に参加することにした。
晶子にしてみれば、深い意味もなかった。幼いころから可愛がってくれる祖父の職場を見てみたい・・・そんな軽い気持ちだった。それに、良家の子女として蝶よ花よと、何不自由なく育てられた晶子だったが、成長するに従って、次第に、息苦しさを感じ始めていた。
─私はこれから、どうしたいのだろう・・・。
それまで、一度も逆らったことのなかった両親への、ささやかな抵抗だったのかも知れない。

晶子の想像通り、父は内心いい気はしなかったが、それでも、娘の意思を尊重するといって、表面上は快く、その研修に参加することを承諾してくれた。

しかし、実際は研修といっても、そこは学生相手のこと、しかも、軍の内部に入り込めるわけもなく、一通りの見学と、簡単な職務内容の説明と体験に終始した。

─こんなことなら、いっそ、おじい様にお願いして、中に入れてもらえばよかったわ。

晶子は、カフェテリアで友人たちと談笑しながら、こっそりため息をついた。
晶子の祖父が、地球防衛軍の長官であることは、公然の秘密だったが、さすがにそれを利用するのは気が引けた。それで、今回の研修のことも、平九郎には黙って参加したのだった。

「お話し中にごめんなさい。」
突然、声をかけられて、晶子がびっくりして振り返ると、防衛軍の制服に身を包んだ女性が、微笑んでいた。
「はい・・・?」
─どこかで、見たことのある人・・・。私、この人・・知ってるわ。
「藤堂晶子さんね。」
端正な顔にスラッとした立ち姿の美しいその女性は、秘書課の森雪、と名乗った。
晶子は慌てて立ち上がって頭を下げた。森雪と言えば、ヤマトの乗組員にして、古代進の恋人。防衛軍の華とうたわれた、憧れの人。周りの友人たちからも、アッと声が上がる。
「今日の研修はもう終わりかしら?」
「はい!あの・・・何か?」
「もし、よかったら、私と一緒に来て下さらない?」
そういうとユキは、ふふっと笑った。

晶子は友人たちに羨ましがられながら、ユキに連れられてカフェテリアを出た。
─いったい、何かしら?
廊下を曲がり、人目のないことを確認すると、ユキは立ち止まった。
「長官が、首を長くしてお待ちよ。」
「えっ。」
晶子は、状況が飲み込めず、ぽかんとした。
「軍の内部にプライバシーは無いわ。」
ユキにこう告げられて、ようやくこの事態を理解した。
「おじい様は、ご存じなのですね。内緒にしてたのに。」
「あなたの事が心配なのよ。それに、とてもかわいいのね。怒っちゃだめよ。」
ユキは、小首をかしげて、優しく微笑んだ。
そして、少し、厳しい顔つきになって晶子を見つめた。
「ここからは、本来、外部の人間は立ち入り禁止なの。私たちでも、高度なセキュリティーチェックをうけるわ。でも、今回は、長官のお気持ちと、あなたの研修生としての熱意を買って、特別に入室を許可します。」
晶子は、さっきまでと打って変わった、厳しい口調に気おされてしまった。自分とそう歳の変わらないこの華奢な女性から発せられるオーラに、一瞬で圧倒されてしまった。
「それと、ここで見聞きしたことは、他言無用よ。それだけは、約束して。これは、あなた自身を守ることでもあるの。」
晶子は、黙ってうなずいた。
─想像以上に厳しい世界・・・。
晶子は、扉のロックを解除するユキの背中を見ながら、自分の甘さを痛感していた。



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