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2016.11/13(Sun)

秘密 ①

晶子は今日も一人、窓辺の椅子に座って、窓の外を見ていた。

東京郊外の高台にある自宅のリビングからは、東京湾が一望できる。
晶子は、子供のころから、この窓の外に広がる、海の風景が好きだった。ガミラスの遊星爆弾から逃れて、地下都市に避難していた数年を除き、晶子の生活には、いつも、この海の風景があった。

しかし、今、晶子が見ているのは、空・・・。
そして、想うのは、その向こうに広がっているであろう、宇宙のこと。
あの人のことだった。

「晶子。・・・・・・晶子!」
晶子は、ハッとして振り返った。
「お母様。」
「何度呼んでも返事もしないんだから。」
母親は、大げさにため息をついてみせた。
「ごめんなさい。ちょっと、ぼんやりしてて。」
晶子は、目を伏せた。

まさか、あの人のことが気になって・・・なんて、本当のことを打ち明けるわけにはいかなかった.。母は、理解のある人だが、いくらなんでも、自分の初恋を打ち明ける気にはなれなかった。
しかも、その相手が、地球防衛軍の人だなんて。いつ、地球に帰ってくるかもわからないんです、なんて。
おまけに、晶子の父親は、軍のことをあまり快く思ってはいない。祖父に反発して、文学の道を志したと聞いている。その祖父は、地球防衛軍の長官にまで、上り詰めたというのに。晶子から見ると、父と祖父は、まったく交わらない、別々の道を歩んでいるように見えた。

「近ごろ、あなた変よ。なんだか、ぼんやりしてる時間が増えたみたい。食欲もないみたいだし、どこか体の具合でも悪いんじゃないの?」
母親は、心配そうに、晶子の顔を覗き込んだ。
「いいえ。大丈夫よ。最近、あんまり暑いものだから、ちょっと、寝苦しくて。」
「そう・・・。本当に、近頃、おかしな気候ですものね。」

11月だというのに、照りつける太陽の陽射しは、まるで真夏のようだった。

─地球規模での異常気象

マスコミや研究者たちが、そろそろ騒ぎ始めていた。
晶子は、その理由を知っている。そのために、ヤマトが極秘のうちに発進したことも知っている。しかし、そのことは決して口に出してはならない。それが、祖父との約束だった。

「それより。晶子。今日の予定はどうなってるの?」
「今日の予定?」
「ええ。さっきおじい様からお電話があって、よかったら久しぶりに晶子と食事でもって。」
「まあ!」
晶子の表情が一瞬でパッと明るくなった。
「今日は、ゼミもお休みだから、おじい様のご都合に合わせるわ。」
「そう。じゃあ、そのように、お伝えしましょうね。」

そして、母親は、意味ありげに微笑んだ。
「本当におじい様の事が好きなのね・・・。まったく、現金な子なんだから。」

─おじい様にきいてみよう。ヤマトのこと・・・。

晶子は、浮き立つ心を抑えられなかった。
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