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2009.10/09(Fri)

異変 ⑪

南部は、一人、静寂の中にいた。
ベッドに身体を預けて目を閉じると、どこか遠くの方から、腹の底に艦の唸りが響いてくる。艦の上部に突き出た第一艦橋に比べて、医務室が艦の中心部に近い証拠だ。

─俺は、どうしたいんだろう・・・。

もう、自分でもよくわからない。
地球は救いたいが、戦いたくはない・・・そんな都合のよい話は現実にはあり得ないのだから。
この航海が、単に、第二の地球探しで終われない事は、もはや明白だった。

それに、南部は、新人ではない。
年こそ若いが、その実績から、地球防衛軍内部でも中核を担うべき立場にあった。

─仕方ないな・・・。

南部は、半ば諦めていた。
何も今に始まったことではないのだ。
自分のやりたいことと、やるべきこととは、いつもズレている。そのギャップを埋めようとするより、最初から諦めてしまった方が楽だということを、幼いころからの経験で知っていた。
現実を生きるということは、そういうことなのだ・・・。

宇宙戦士訓練学校に入ったのは、自分の意志だった。それこそが、南部重工という父親の呪縛から逃れる方法だと思っていたのに、それが、後々、自分を苦しめる十字架になろうとは。
決意と希望を持って家を出た、十五の春に、どうして予測できただろうか。

─仕方ない・・・。

これは、南部にとって、魔法の言葉だ。この一言は、ざわつく感情を抑え込む、万能薬だった。

─みんなに迷惑かけたな。
南部はゆっくり息を吐いた。
─おかしいと思ってるんだろうなあ・・・。

倒れてから三日、ユキと古代以外に南部を見舞う者はなかった。
相原も太田も冷やかしに来ない。南部自身よりも、周囲の方がナーバスになっているのだろうということは、想像に難くなかった。


その時、不意に、扉の開く気配がして、南部は顔をあげた。

「ノックぐらいしろよ。」

古代が、いつもの照れ笑いで、そこに立っていた。
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