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2009.10/07(Wed)

異変 ⑩

「エゴか・・・。」
古代は相原の話を聞き終わると、ぽつりと呟いた。
「そうだな。俺たちのしていることは、エゴ以外のなにものでもないのかもしれないな。」
そして、自嘲気味の笑みを浮かべた。

相原は、そんな古代を見て、気がついた。

─この顔・・・。あの時の、南部と同じだ・・・。

「今回の事ってさ、原因は何かひとつの事じゃないと思うんだ。」
相原の言葉を、古代は黙って聞いている。
「うまく言えないけど、なんていうか・・・。少しずつ溜まってきた、膿みたいなものだと思うんだ。」
「膿か・・・。」

おそらく、相原の言うとりだろう。

時間が静かに流れていく。
戦闘さえなければ、ここは、静寂と闇の支配する空間だ。一向に変わらない窓の外の風景が、自分たちの置かれた空間の大きさを物語っていた。

「今回の任務に就く前、暗黒星団帝国との戦いが終わって、俺たちが通常の任務に戻っていた頃、南部と二人で飲みに行ったことがあってな。」

古代は話しながら、視線を手元に落とした。

「南部が言うんだ。『俺たちは何で戦い続けてるんだろう』って。自分は何不自由のない暮らしに妙な罪悪感を抱いて訓練学校に入ったが、そうして得たものは、更なる罪悪感だった、ってね。」
「罪悪感?」
「ああ。人殺しの道具を売ったお金で食べさせてもらってると思っていたら、気がついたら、自分が人殺しになってたって。」
「そんなっ!」

─違う。

しかし、その一言が、どうしてだか口に出して言えない。
相原は、どうしようもなく哀しかった。

「揚羽の乗艦が決まった時も、複雑そうだった。揚羽の会社も南部のところと同業だからね。自分と重ね合わせてたんじゃないかな。『俺は、南部重工の広告塔だぞ!』なんて、冗談めかして言ってたけど。」

「馬鹿だなあ。南部のやつ。」

ため息混じりの相原に対して、古代は不思議なくらい穏やかに微笑んだ。

「俺も南部と同じだよ。人殺しのエゴイストってところだな。」
そして、古代はすっと立ち上がった。
「南部の所に行ってくる。先に戻っててくれないか。」
「了解。」

相原は、冷めきったコーヒーを一気に飲み干した。


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